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彼がいなくなった部屋はとても寂しい。
私は帰り支度をしつつ、ドライフラワーにした“cotton candy”を手に取った。
ドライフラワーにしたことで、室温を気にせず飾れる。
シンガポールの暖かい気候で、ブルースターは枯れてしまったが、かすみそうを見て彼が私を思い出してくれるといい……
「そうだ……!」
私は突然、あることを思い付き、声を上げる。
まだ、飛行機の時間には余裕がある。
私は彼と初めの日に歩いた道を駆け足で進み、ブルースターを買った花屋に来た。
相変わらず、レインボーカラーが目立つ。
呼び掛けられたのは現地の言葉。
私は意味がわからないが、とにかく店内に足を進め見渡した。
彼が部屋に帰ってきたときに、何か花を置いていたいと思った。
何か、メッセージを残したい。
そこで手にしたのは白のカサブランカ。
花言葉は“永遠の絆”。
とても香りが強く、優美に咲く花。
置き手紙の代わりに、と私はそれを二本買った。
私と彼に例えて……
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