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それでも彼のキスは深まるばかり。
私は力が抜けるどころかますます力んでしまう。
力の抜き方がわからない。
彼に触れられたことはあるものの、どこかで最後まではいかないと安心していたところもあるため、今ほどの緊張はなかった。
たぶん、これほど覚悟がなかった。
そのため彼のキスの合間にわずかに彼から顔を離し「優君どうしよう……」と言った。
私の声はとても頼りない。
「……どうしたの?」
だが、彼は優しい口調で聞き返した。
「怖くなった?」
続けて言った彼の言葉は、私を逃がそうとしてくれるもの。たぶん私が頷いたなら、彼は止めてくれるはずだ。
しかし、私だって彼と進みたい。
「ドキドキしすぎて、大変で……。私未成年でもないのに初めてなので、ごめんなさい……」
きっと彼は困ると思う。
だが、口にすると少しだけ力が抜けた。
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