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「ドキドキしてるのは同じだよ、大丈夫」
優君が私が初めての相手でないことは、昔彼女がいることを知っているためわかっている。
あまり考えたくはないがそのことを責める気なんてない。
それなのに彼もドキドキしてくれているとわかり、さらに力が抜けた感じがした。
それに、今度こそ大丈夫だと思える。
「嫌じゃないなら、止めないよ」
彼は私の心を読んだように言うと、素肌に触れていた手を抜き、私の身体を持ち上げベッドに寝かせた。
彼もそう。
先ほどと同じ格好になることで、いよいよ結ばれる、という感じがした。
「胡桃、好きだよ」
彼からの告白に私は「私もです。優君……お誕生日おめでとうございます」と言って、瞳を閉じた。
視界は暗くなったが、彼の顔が近くなるのがわかる。
「ありがとう」
そこで彼は息がかかるほどの近距離でそう言うと、私の唇を塞いだ。
今度はもう私は彼を止めなかった。
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