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車は優奈さんたちの家に着いた。
すると車の停まった音を聞き付け、優奈さんが彼女の娘を抱っこし家から出てきてくれた。
この間は寝ていた彼女の娘も、今夜は起きている。
前にEiry で会ったことのある彼女の娘は、久しぶりに見ると大きくなっているように感じた。
「胡桃ちゃん、いらっしゃい」
優奈さんは顔を笑顔でいっぱいにして言った。
「あ、お邪魔します」
「わざわざありがとう。ほら、優ちゃんも、ご挨拶」
優奈さんが女の子に言った。
すると女の子のくりりとした大きな目が、私を控えめに見つめた。可愛い。
「こんばんは、胡桃ちゃん」
いきなり名前で呼ばれて驚いたが、すぐに優奈さんが「ごめんね、“胡桃ちゃん”って私が言うのを真似しちゃって」と申し訳なさそうに言う。
「いえ、こんばんは」
私はすぐに首を左右に振り、女の子に微笑んだ。
優君の家族に嫌われたくない。
それに私は一人っ子なのでわからないが、なんとなく子供の機嫌を損ねたなら持ち直すのが大変そうな気がする。
「胡桃ちゃん、中にどうぞ」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げ、優奈さんの後に続く。
それから玄関に並べてあるスリッパを履き、リビングへ足を進めた。
中の様子は前に来たときとあまり変わりがない。
相変わらず整頓整頓されており綺麗で、何より温かな雰囲気。
一人暮らしの私の部屋とは全く違う。
前も思ったが、今夜もいいなと感じる。
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