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すると優君は固まってしまう。
こういう時、同じように返して欲しいのが女心というものなのに、私は恥ずかしくなった。
「ゆ、優君……もう、何か言ってください……困ります」
私は唇を尖らせると、優君が「ごめん、見惚れた」と、言った。
更に恥ずかしいことを言われ、唇を手で隠す。
私はどんな顔をしていたのだろう。
あとで鏡で確認したい。
「もっかいして、胡桃」
彼は真剣に言うが、私は首を横に振る。
「もう今日はしません」
先ほどは、彼が恥ずかしがっていたので自然に近づけられたのだ。
見惚れるなんて聞いたあと、できるはずがない。
「じゃあ明日ね」
「……お、おやすみなさい」
私は約束はしないと思い、そう言った。
すると彼が「好きだよ」と甘く伝える。
私も手を外し、「好きです。おやすみなさい」と言った。
それから“好き”を何度伝え合っただろう。
もう大人であるのに、まるで十代のカップルのようだと電話を切ったあと、一人照れた。
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