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優君とは週末まで毎日帰宅後と寝る前に電話をした。
毎回時間を忘れて話してしまうせいで、最近寝不足気味だ。
それでも疲れを感じないのは心が潤っているせいだろうか。
だが、土曜日の今日は彼と話せる時間は不確か。
今夜、私は優奈さんの家に会いに行く予定でいる。
優君も飲み会と聞いているので、彼の顔が見れるのは遅くなるような気がする。
Eiry に出勤すると、いつものように店長に「胡桃ちゃん、おはよう」と笑顔で言われた。
「おはようございます。注文ですか?」
店長は作業台の前に立っており、花器にいけばなを生けていた。
昨夜帰るときは何も聞いていなかった。
黒の花器は私たちがよく使う居酒屋のもの。
最後に行ったのは、優君と別れていた一番辛い時期で、店長に好きだと言われていたときだ。
あの時はストックの花が生けられていた。
「そうなんだ。今朝いらっしゃって頼まれたんだよ。でき次第持っていかないといけない」
「そうなんですね、何か手伝いましょうか?」
「ありがとう。じゃあ下の方にシダを挿していってくれる?」
「わかりました」
私は店長の横に立ち、緑色のシダを剣山に生けはじめた。
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