プルメリア

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すると治人さんが「ははっ」と声を出して笑う。 私は恥ずかしくなり、顔を俯かせた。 私がシンガポールに行っていた間、留実ちゃんが普段より長く働いてくれたけれど、私が出勤してからテスト勉強のため休んでいる。 そのため、優君とのことをちゃんと聞かれるのは日本に戻ってから二度目。 一度目は長く休みをもらっていたので、店長と治人さんに土産を渡した時、優君とよりが戻ったことを伝えた。 それは私が「ありがとうございました」と顔を赤らめながら言っただけで察された、と言った方が正しいが、その時以来優君とのことを尋ねられなかった。 きっと留実ちゃんには色々聞かれるのだろうけれど……覚悟しておかなければならなそう。 「それはよかった。毎晩急いで帰って電話するんだろ?」 治人さんに見破られていることに驚く。 急いで帰っていたつもりはなかったが、前は店長と二人になりたかったので、意識して残っていたのは確か。 私は顔を上げ、「は、治人さん……」と言うと、治人さんは苦笑した。 「ごめん、こういうのがセクハラっていうんだっけ……?」 「いえ、そんな……ただ恥ずかしくて」 私はわかりやすいタイプのよう。 知らなかった……
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