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「わかるって顔だね」
私の心はまた読まれたよう。
しかし、部屋が片付いてないことを教えてしまうことになるので、苦笑いだけ返した。
その時すぐ、信号が青になったので車は動き出す。
少しの間、私たちは無言になる。
しかし車内に流れるラジオの音がそれを苦に感じさせない。
ただ先ほどまでラジオパーソナリティーが喋っていたのが音楽に変わった。
それは優君が好きなアーティストの曲。
優君とのドライブの時に流れていたのは、いつも音楽だった。
彼の好きなアーティストでだったり、私であったり、それぞれだったが、暗い車内が、優君と同じSUV 車なので、優君といるのだと勘違いしてしまいそうになる。
窓の外を流れる景色を見つめていると、よりそんな感じがしてくるようだ。
もしかすると晴臣さんは優君の好きな曲を知っていたのかもしれない。
なぜなら、その曲が終わったあとに口を開いたから。
「離れてると色々不安もあると思うから、胡桃ちゃんとはまた形が違うけど、優奈も一応遠距離みたいなこと経験してるから色々相談していいと思うよ」
「え……」
「優奈は知ってると思うけど世話焼きでしょ、相談されたら嬉しいタイプだから」
「あ……はい」
「胡桃ちゃんのこと、もう一人の妹みたいに思ってるようだし」
晴臣さんの横顔が優しく緩んだ。
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