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「胡桃ちゃん、改めて紹介するわね。娘の“優”よ」
優奈さんに紹介され、私は慌てて視線を彼女の娘に戻した。
「優ちゃん、お邪魔します」
「はい」
優ちゃんは小さくお辞儀をし、笑った。
その笑顔は優君に少し似ている気がする。
晴臣さんにしても優ちゃんにしても、私は優君のことばかり。
しかしすぐ優ちゃんの視線が私から逸れたと思うと、彼女は優奈さんの腕を抜けた。
「パパ……!」
あっという間に優ちゃんは晴臣さんのもとへ駆け、抱きつく。
晴臣さんは車を停めすぐ電話をしていたので、部屋に入ってきたのが今だった。
晴臣さんは、すかさず優ちゃんを抱き上げ頬擦りをする。
いかにも可愛いという感じだ。
とても微笑ましい。
「パパっ子なの」
優奈さんが呆れたように言う。
こういう時、何と言えばよいのだろう。
私は小さく笑っただけ。
「あ、いけない、火をかけっぱなしだったわ。胡桃ちゃん、今日ね、お鍋にしたの。豆乳は好き?」
「あ、はい」
「よかった。豆乳鍋にしたから。もうできるからゆっくりしててね」
優奈さんはそう言ったが、私は「あ、お手伝いします……!」と、料理下手なくせに言い、優奈さんの後に続きキッチンへ行く。
晴臣さんは優ちゃんの相手をしているので、私と優奈さん二人だけの空間になる。
すると彼女に「優斗、喜んだでしょ?」と早速、優君のことを尋ねられた。
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