クロッカス

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それにしても店長は急いで出たのだろうか。近い距離だと鍵を閉めずに出ることもあるものの、長めに留守にする時はいつも鍵が閉まっている。 もしかすると今日は忙しいのかもしれないと予想しながら、レジカウンターまで足を進めると、店長からの手紙を見つけた。 手紙は仕事の指示が細かく書かれていたが、ずいぶん乱筆だった。 頭の中を優君から仕事のことに切り替える必要があるよう。 とにかく私はエプロンを羽織り、花バサミを持つと、開店の準備を始めることにした。 店の外に出て一番に視線を向けたのはルーナレナ製薬会社。 優君は実家にいるはずで、まだいないとわかっているが、意識してしまう。 早く、会いたい。 今朝から気付けば思考がそればかり。 気を付けなければ頭の中がすぐに乙女モードに切り替わってしまう。 だから意識を正し、外に鉢を並べ水をまくが、出勤中のサラリーマンを普段以上に気にする私がいる。
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