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「それのどこが怖いわけ?」  夏服姿の亮太が尋ねる。学ランもいいけど白シャツの亮太も爽やかでいい。亮太の歩幅に合わせて小走りする夏服ブレザーのあたしの体は、汗だくで気持ちが悪い。  気の早いセミが「ジーー」と、新緑の木々に姿を隠し鳴いていた。  カラリと晴れ渡った空。初夏の風。青春!  目の前にはどこまでも続く坂道。  この坂を登りきったとき、亮太に告ると決めていたあたしの心臓はもうバクバクだ。  長かった片思いも今日で卒業。
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