第一話 置き去りの殺意

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今思い返してみれば、まるきりそれに当てはまる感じね。彼の態度、確かに一貫性がなかったもの。近づいたり、離れたり。その度私は翻弄されていたわけだけれど。大人の彼の戸惑いに、子供の私が振り回されていた感じ。 あの時は、私の精神的にも微妙な時期だったの。その頃に、彼が優しくしてくれたでしょう。単純に嬉しかったのよね。だから、もしかすると、本当は彼じゃなくても、似たような人が現れていたらその人に心惹かれていたかもしれないわね。まあ、今となっては、何をいっても遅いのだけれど。 ああ、これがどうして最初の話につながるのって顔ね。 それはね、私が本気で殺したいと思った相手が、彼だからよ。
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