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店内に流してあったはずのBGMがいつの間にか途絶えている。彼女以外に客がいないせいで、話し声も聞こえない。彼女の独白が消えると、急に天鵞絨のような滑らかな沈黙が店内を包む。そして沈黙は、彼女の先ほどの言葉をのしかかるような重さを伴って揺蕩う。
「マティーニ、おかわり」
飛び散って三分の二ほどしか残っていなかったグラスの中身をくいと飲み干し、彼女はそう言った。
三杯目のマティーニを彼女の前に置くと、
「ありがとう」
その日初めて、彼女がそう言った。
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