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「『音楽』か…。」
5年ほど前だっただろうか。ある日、世界から歌が消えた。アメリカの工場の爆破により
飛び散ったウイルス。それは歌を歌った人は病に倒れ、最終的には遅くても2日で死ぬと
いうものだった。ウイルスにより世界中の歌手が死に、アメリカのその工場に勤めていた
者の半数が自害した。ウイルスの詳細は未だに掴めておらず、故に世界中のすべての学校
から、『音楽』の授業が消えた。
「小学校以来…かな。」
「なんかさ、私、がらにも無く怖くってさ、あの日から楽器にすら触れないんだよね…。」
「歌わなきゃ良いだけなのにね」と、花澄が制服のリボンをいじりながら、力なくヘヘッと笑った。
「ユウ太もさ、やっぱりまだ…怖い?」
「…」
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