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神木と藤堂は何やら二人で話していて、多分父の今の容体の報告をしているのだろうと実果子は思った。
君江は未だ目を瞑ったままの勝の手を握って、お父さん、と小さな声で呟いていた。
神木と藤堂の話が終わると、わたしはこれで失礼します、と藤堂は病室を出た。
実果子は軽く会釈をしてベッドの方へ向き直った。
一呼吸置いて神木が口を開いた。
「今日施した処置と明日からのことを少しお話します。」
3人ははっとしたように神木に向き直った。
神木は静かに続けた。
「桃山さんの症状は脳梗塞です。幸い、症状が出てから病院に着くまでが早かったので血栓を溶かす薬を使って血流を回復させました。桃山さんは特に既往歴もないようでしたので、この処置ができて良かったです。意識もじきに戻るでしょう。」
それを聞いて君江はホッと息をついて心底安心したような顔をした。
それは実果子も果奈子も同じだった。
神木はその顔を見た後言葉を続けた。
「その後の結果によって治療方針が変わってきますが、入院して安静にして少しづつリハビリをしていってもらいます。最初は手足を動かすところからゆっくりと始めていきます。これについては理学療法士とまた相談しながらやっていきましょう。」
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