第2章 No sugar,a little milk

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「お姉ちゃーん」 果奈子の声ではっと目を開けた。 いつの間にか眠ってしまったらしい。 「お風呂上がったよー。」 果奈子がタオルで髪を拭きながら冷蔵庫からお茶を取り出している。 髪も乾かさずにいる果奈子に一言言おうかと思ったが、うまく声が出ず諦めてふらふらと力無さげにリビングを出た。 シャワーを済ませリビングに戻ると果奈子はソファで横になって携帯を見ていた。 髪は相変わらず濡れたままでタオルを頭に巻いている。 「お母さんからなんか連絡あった?」 実果子が聞くと 「ううん。何も。」 とだけ言ってなおも携帯を見ている。 「そっか。お姉ちゃんもう寝るね。髪乾かしなよ。」 果奈子に言って自分の部屋に戻った。 ベッドに入ると今日1日あった事がいろいろ思い出させる。 (そうだ、お母さんにメール…) そう思って携帯を手に文章を打ち終わると緊張の糸がプツリと切れるように実果子の瞼は閉じってしまった。 意識を手放す瞬間に何故か主治医の神木の顔が一瞬だけ浮かんで消えていった。
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