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黒に近い白
いつものように携帯のアラーム音で目が覚めた。
実果子は昨日のことを思い出し、慌てて携帯に手を伸ばした。
君江からメールが来ている。
【お父さん、目覚ましたよ。検査と治療方針の話があるって看護師さんが言ってたから、暇を見て一回帰るね。】
実果子はメールを見てほっと溜息をついた。
昨日は眠れないのではないかと思ったが思いの外疲れていたようで朝までぐっすり眠っていた。
実果子はベッドから下りると部屋を出て果奈子の部屋をノックした。
「果奈ー、起きてる?」
そう聞きながらドアを開ける。
果奈子が起きていないのはいつもの事だ。
果奈子の枕元まで行き、かかんで果奈子を起こした。
「果奈、お母さんからメール来てるよ。お父さん目覚めたって。」
果奈子が眠そうに目を開けている。
実果子が言ったことを今起きたばかりの頭で整理しているようだ。
数秒後、ガバッと身を起こしてキョロキョロを辺りを見回している。
大方、携帯を探しているのだろう。
枕のすぐ横に置いてあった携帯をとり、画面を確認している。
大きく肩を落として体の力を抜いた果奈子に実果子は、
「とりあえず、わたしたちは学校行くよ。」
と言って部屋を出た。
学校へ行く支度をし、簡単に朝食を済ませた。
果奈子がずっと病院へ行きたいと言っていたが、なんとかなだめて学校へ行かせた。
実果子だって心配で学校なんか休んでしまいたい。
だが、君江は学校へ行くようにと言った。何かあれば連絡があるはずだ。学校が終わればすぐに病院へ向かうつもりでいた。
学校にいる間は携帯が鳴らないかそればかりが気になった。
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