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「大元帥殿。命の重みって知ってやすか?」
「そんなもの知った事か!」
「人間の魂の重さは二一グラムという俗説がありましてねェ」
魔術師は身じろぎひとつせずに暢気に言う。
「それが二〇〇万人ってェと、意外とずっしり来るモンですよ」
次の瞬間、まるで象にでも踏みつけられたかのような衝撃がハーリックを襲った。腕が捻り折られ、脚がぺらぺらに潰れ、背骨が音を立てて限界まで軋み、呆気なく砕ける。命乞いの叫びを上げ続ける彼の頭がついに潰れ、眼球がとろりと飛び出した。
悲鳴を聞きつけた部下達が駆けつけると、得体の知れない肉塊を一羽の禿鷹が啄ばんでいた。そうして、ゲ、と鳴くと大きく羽ばたき、崩落していた天井から禿鷹は飛び去ってしまった。
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