二章「二日目」

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「なんかもう、俺が主犯みたいになってるけど、いいよ。続けて」 「竹彦が『アンチZ』のメンバーだっていう証拠なんだけど、それもキーワード『7』が絡んでたんだ。さっき、九マスなのに七マスしか使われてない事は言ったよね。文字意外にも、暗号として使えるものがあるよね」  雅弘は、問題をこの場の全員に投げかけた。  すると、一番早く気づいたのは、瑞穂だった。 「数字か」 「そう。数字が七つ。今まで出た数字を順に並べて、語呂で読んでみて」  今まで出た数字は『6』『3』『4』『8』『2』『5』『1』だ。 「ムサシ、ハツコイ?」  大村先生が呟いた。 「武蔵初恋。やっぱり『アンチZ』のメンバーの中に竹彦は入っていたんだ。それに、初恋の相手って、綾藤八重乃だよね」  武蔵は頷いた。 「そうだよ。出合った頃から好きだった。中学で隣の席になって、聡明な彼女に惹かれたんだ」  保谷は、驚いて武蔵を見上げる。 「複雑だよね。三角関係の中で一番重要な人物、綾藤八重乃が自殺する原因を、保谷がつくってしまい、その保谷も、竹彦と同様に恋愛感情を抱いていたんだから」  雅弘は、残念そうな表情をした。「ちなみに、この事件の元ネタの小説は、竹彦の願いが詰まった小説だったんだね」  武蔵は頷いた。そして、冷徹な目を保谷に向ける。保谷は、その目に恐怖を感じて、一歩下がる。 「最後に訊きたいことがあるんだけど」  武蔵は、表情を和らげて、雅弘に向いた。 「なんだい?」 「この計画を立てたのって誰なの? もしかして全員で考えた?」  武蔵が答えようとしたとき、女の声がした。 「私よ」  声の主は、綾藤三葉だった。「私が主犯よ。八重乃が理不尽にも眠らされて、メンバーの中で最も憤りを覚えてた」 「いや、俺が主犯だ」  今度は、柴峰先生が現れた。「『ゾロ』に潜入させた負い目があるから……」 「やっとお出ましか」  雅弘は、今まで隠れていた二人の話など聞いていなかった。その口調から、真実味が感じられないのだ。 「俺だよ」  武蔵の声には、張りがあった。「俺が全部考えた。俺のパソコンを調べれば、計画書が出てくるし、そのメモ書きも机の引き出しにしまってある。柴峰先生に、この学校の名簿を取り寄せてもらって、その名簿のコピーもある」
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