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考えを巡らせている時だった。三葉の携帯が鳴った。
三葉が電話に出る。二、三度相づちを打って、表情を一変させた。
「え?」
目頭が赤くなった。そして、涙が溢れた。
一同が、三葉に注目する。
「どうしたんです?」
柴峰先生が訊いた。
「今、病院から連絡があって、八重乃が……」
嗚咽を何とか堪える。「八重乃の意識が戻ったって……」
それを聞いて、三人は信じられないといった顔で三葉を見た。
やがて、安堵したように柴峰先生は膝をついた。保谷も、肩の力を抜く。
雅弘は、武蔵の表情を伺った。武蔵は、天を仰いだまま動かない。
やがて、目尻から滴が垂れた。そして、震える吐息が響いた。
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