終章「後夜祭」

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 その日の夕方、花崎学園の生徒たちは、後夜祭を行った。  ダンス部による公演や、クイズ研究部による『ウルトラブレインin後夜祭』など、日が暮れても花崎学園を彩った。花崎学園の生徒たちだけが見られるお祭りだ。  後夜祭が行われている校庭の片隅で、瑞穂と雅弘はその様子を眺めていた。 「武蔵はどうなるんだろう?」  瑞穂が呟いた。 「まあ、停学は免れないって、ダイソンは言ってた。記者の前で、保谷が告白したから、警察や教育委員会の介入があるかもしれないともね」  それと、天谷隆裕は命に別状はない事も伝えた。だが瑞穂は、このことに関して興味を示さなかった。 「まったく、壮大な計画を遂行したのに、その直後に彼女は起きた。タイミングがもっと早ければ、彼らを止められただろう……」  瑞穂はため息をついた。 「いや、僕はこう考えるよ。彼女と過ごす四人の時間が、もう一度動いて欲しいと計画を実行に移した。そして、それが叶ったってね」  そして、時計は再び動き出した。  この先、彼ら四人と綾藤八重乃は、どうなっていくか分からない。雅弘も瑞穂も、綾藤八重乃を知らないのだ。だが、一度は自殺を選んだ彼女は生き延びた。その事実は、彼らの人生を大きく変えるのかもしれない。
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