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一人で暮らすには、ひどく広くて寂しい我が家。
疲れ果てて玄関ドアを開けても、誰も「おかえり」と迎え入れてくれるわけでもない。
だから俺は、いつも通りにドアを開けると、無言でリビングに向かう。
真っ暗な部屋で、壁際のスイッチを入れる。
俺はジャケットを脱ぐと、鞄と一緒にソファに放り投げた。
そしてダイニングキッチンのテーブルに、百均で買った酒のつまみの入っているレジ袋とコンビニで買ってきた弁当の入ってるレジ袋、その二つを置いた。
世の中は春で、花見だの、入学式だの、新入社員だのと、新しい何かを始めようとしている希望や幸せに溢れた言葉が飛び交っている。
しかし、俺の心の中は、ずっと冬のままだ。あの八年前の春から、ずっと。
ネクタイを緩めると、弁当をレンジに放り込んでタイマーをセットした。
俺はその間に、玄関そばの和室に向かった。
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