2180人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は、俺の好きなかわはぎと、ミックスナッツ、焼き鳥の缶詰。
冷蔵庫から缶ビールを取り出して、プルトップを開けると、一気に流し込む。
のどごしを味わうなんてのは、心に余裕がある人間がすることだ。
俺はただ単純に酔えればいい。
「ぷはぁぁぁっ」
大きく息を吐きながら、テーブルに缶を置き、手に伝わる缶の冷たさを実感する。
『パパ、ほどほどにしてね』
『フフフ、しずるの言う通りよ』
居もしない二人の声が、勝手に脳内で再生される。
そしてそれが、俺は一人だ、というのを嫌なくらいに実感する。
「……かわはぎ、うめぇな……」
俺の言葉は、肌寒いダイニングキッチンに、寂しく響いた。
最初のコメントを投稿しよう!