3.エアプランツ

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「この前、君がお客さんに説明してるのを聞いて、そういうことか、と思ってね」 「そういうこと?」  靴を履き終えた彼が、俺の顔を不思議そうに見上げた。  俺はジッとエアプランツを見つめる。 「水が必要ないなんてことはないんだってこと。少量でも水分は必要なんだって。そうじゃなきゃ干乾びてしまう」  その言葉は、まるで俺自身のことのようだ。  さおりと静流、二人のことを思い出すたびに胸の痛みは消えないけれど、彼女たちを思って流す涙は枯れてしまった気がする。 「今度は、ちゃんと育つといいですね」  彼の言葉に、俺は何も言えなかった。  今更、エアプランツを育てたところで、静流が喜ぶわけもなく、ただ俺自身の自己満足でしかないのだから。
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