4.花火

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 世間一般のお盆休みの時期というのは、俺にはあまり関係なかった。  基本的に有休休暇で消化する、という、社内ルールのせいもあり、特別に用事でもない限り、俺は普通にカレンダー通りの休みだった。  すでに自分の両親は他界していて帰る実家もない天涯孤独。  義理の両親は健在だが、義理の兄夫婦がいる。  俺一人が顔を出したところで、さおりと静流を思い出させて悲しませるだけだ。 「山本課長!今日の花火大会、屋上で見ますよね」  定時にはまだ早いが、社内がどこか浮ついた雰囲気だったのは、花火大会のせいか。小島が、佐藤さんや丹野さんを引き連れてやってきた。 「あー、いや、俺はいいや」 「何言ってるんですか!一応、うちの課の課長なんですから、責任者としていてもらわないと」  別に子供でもないんだから、俺がいなくてもいいだろうに、と思った。  しかし、同期の小笠原が、自分の部下に、買出しの指示をしているのを見ると、やっぱり、俺もいないとまずいのか、と、うんざりする。
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