第13縁

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「おまさのお陰で私はここにいるんだよなぁ」 鴨川の河川敷に腰を下ろして小さな声で呟く。少し離れたところに掛かる橋の上を見ると、やっぱりたくさんの人が歩いていて。 おまさが見つけてくれたのは奇跡なんだって思った。 新撰組に見つかっていたら、今のような生活は送れていなかったかもしれない。 未来から来たと言うとても怪しい事を言う私を、おまさ達家族は受け入れてくれて。 住む場所と仕事を私に与えてくれた。 それから沖田さんや晋作さんがお店に来るようになって、この1年本当に色々あったよなぁ。 たった1年かもしれないけれど、私にとっては物凄く濃密な時間だった。 ビルも何もない。持っていたスマホだって電波は入らない。和服が基本のこの時代。 不便だし、平成にいる家族や友達に会えないのだって寂しい。 でもその寂しさを埋めるくらい、ここの人達には良くしてもらっている。 その人達を失うなんて嫌だ。笑顔で平和に過ごせる為なら本当は話してしまった方が良いのかもしれない。 私は……。 「ここにおったんか」 思考を遮るかのように、後ろから低い声の関西弁が聞こえてくる。 流石に振り返らなくても、誰が来たかくらいすぐにわかった。 「土方副長がもうお多福で待っとる」 「お迎えありがとうございます。山崎さん」 「……覚悟は決まったんやな」
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