第5縁

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「だけど、君が現れてからずっと疑問に思い始めた。誰かの為に生きるのって、意味があるのかなって」 正直話を聞くような体勢ではないけれど、無視は出来なかった。沖田さんが自分の事を話そうとしてくれるのだから。 聞かなければならないと思った。 「近藤さんの為に生きてて、もし近藤さんがいなくなったら? ……そうしたら、俺の生きる意味はなくなってしまうって気付いた」 肯定も否定も出来ない。誰かの為に生きる事は決して悪い事ではないと思う。だけど、沖田さんの言う事もわかるから。 「もっと自分の為に生きたいって思った。もちろん近藤さんの為にっていうのは変わらないけれど」 私の両手が自由になる。だけどその代わりに、優しく抱き締められた。 肩の上には沖田さんの頭が預けられている。 「自分の為にって思った時、真っ先に顔が浮かんだのは景ちゃんだったよ。……傷付けた後だったから、会いに行けなかったけれど。今更だけど、本当にごめん」 「大丈夫です。傷は残りませんでしたから」 「うん。でも……怖い思いをさせたと思う」 いつになく優しくて、真剣で。 突き離さない自分に嫌気がさす。こんなの、晋作さんに申し訳ない。 軽く手で沖田さんの肩を押すと、簡単に身体は離れる。 「沖田さん、私晋作さんが好きなんです。……だから、もうこれ以上は」 「わかってる。けれど、この前も言ったように俺は諦めないよ」 全然わかってない。
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