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結局あれから色々話してみたけれど、おまさからはもちろん原田さんからもデートに誘うのは無理だという結論が出た。
だってあんなに好き好きオーラを出しているのに、今の今まで誘ってきた事だって1度もないのだから。
だから代わりに私が誘う事にした。おまさの許可は貰っている。というか頼まれたに近い。
うーん……気が重いなぁ。あんまり行きたくはないんだけれど。言い出したの私だしなぁ。
そんなこんなで私は今、新撰組の屯所近くまでやってきた。
誘おうと思ったらパタリと原田さんが来なくなってしまったから。
5月のポカポカとした過ごしやすい陽気の中、私の心はどことなく落ち込んでいた。
やっぱり新撰組のいる所はあまり気分の良いものではない。これもおまさの為と言い聞かせて、近場で原田さんが出てくるのを張り込む。
流石に屯所を訪ねる勇気は持ち合わせていない。
全然来ない。朝から来てみたけど、もうお昼近いしお腹空いたなぁ。一旦お昼でも食べようかな? でもその間に出てきたら……。
「景ちゃん?」
どうしようかと考えていると背後から声を掛けられた。慌てて振り向くとそこには浅葱色の羽織を肩に掛けた沖田さんの姿が。
後ろには同じく浅葱色の羽織に袖を通した男の人達が5人程いて、思わず身構えてしまう。
最後に会った時のような悲しげな顔はどこにもなく、以前の沖田さんのようにニコニコとしていた。
「お、お久しぶりです……」
「みんな、先戻ってて良いよ」
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