147人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして高杉がここにいるの? なんでわかった?」
「おまさから聞いたんだよ。景がお前に連れられてから中々戻って来ないって。だから町で沖田を見なかったか聞いて回った。お前は有名だからすぐに見かけた人が見つかったよ。なんてとこに景を連れ込んでんだ!!」
「……左之さんは?」
「おまさが引き止めてくれてるよ」
2人が睨み合う中、私はこの状況を晋作さんに見られてしまった事が不味いと思った。久々に会えたと思ったら沖田さんに抱き締められてて。
誤解されてもおかしくない。
「景は僕のだ。早く離せよ」
「どういう意味?」
「なんていうか、その、だから景は」
「私……晋作さんと付き合ってます」
晋作さんが言いづらそうにしているのはきっと、私の事を考えてなんだろう。だけどこの状況で言い渋っている場合じゃないと思ったから、沖田さんを見つめてはっきりと伝えた。
そうしたら、沖田さんの腕の力は緩んで。
その隙に抜け出して晋作さんの横に行くと、安心したように微笑んでくれた。
「何もされてないか?」
「大丈夫です」
「なら良かった。……沖田、景は僕の恋仲だ。もう2度と手を出すなよ」
真剣な顔をして沖田さんに向かって口を開く。沖田さんはゆっくりと立ち上がると、スタスタとこちらへ向かって歩いてきて。
「認めない。……俺は、景ちゃんの事を諦めないから」
そう言って、私達の横を通り過ぎて部屋から出ていく。
最初のコメントを投稿しよう!