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気が付つくと、俺はいつまでも続く階段を登り続けていた。
いつからか、なんてものは覚えていない。
景色は延々と変わらず、天井と両側の壁はコンクリートに覆われ、壁には不規則に覗き穴の様なものが空いていて、いくら上っても絶えなかった。
俺は怖くて覗くことはしなかった。
どこからとも無く温い風が身体を弄ぶかのように吹き付ける。
トッ、トッ、トッ、トッ。
無心に階段を上り疲労はピークに達していた。
しかし何故か休むなんて発想は俺の頭の中には無く、惹かれる様に上へ上へと上り続ける。
心なしか段々と明るくなって来ている。
そう感じ始めてからも一向に終わりが見えない。
そして俺はついに壁に空いている穴への好奇心が抑えきれなくなった。
足を止めて右の壁の1つの穴を見据える。
ドッドッドッドッ、、。
動悸が徐々に大きくなり今にも口から心臓が飛び出してしまいそうなほどだ。
嫌な脂汗が全身から滲み出て、首筋を汗がツツーと辿る。
俺はまるで子供がいけない事をする時のように、ゆっくりと片目を閉じて穴を覗く。
その刹那、誰かが再生ボタンを押したかのように映像が動き出した。
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