冒頭 ネットで繋がる赤い糸 

2/3
前へ
/45ページ
次へ
運命の赤い糸を信じますか? 私は信じます。  実際に私、赤い糸が見えるんで……。  子供のときから人の小指に赤い糸が見えるんです。  それは目を凝らさなければ見えないもので、普段の生活では見ようとしない限り見えるものではありません。  だから、視界が真っ赤っていうわけではないんです。  その話を友達にすると、「私の運命の人って誰か教えてよ!」とか「運命が分かっちゃうとつまらなくない?」ってよく聞かれます。  はじめの質問に対する回答は近くにいる人の場合は「すぐに会えるかもよ?」って笑いながら伝え、遠くにいそうだなって場合は「しばらく時間がかかりそう」って言います。  当たり前です。  もし仮に私が「あの人だよ」なんて言って無事お付き合いできたとしてもその人が最期まで運命の人という保証なんて私はできません。  だって、付き合ってる人でも薄い糸だったり濃い糸だったりするんです。  私には運命を決めるなんて大それたことをいう役割なんてまったくありませんし、出来るのであれば平和に――そう、平和に生きたいんです。  それはそうと、後者の質問に対しては「うん、つまらない」と即答します。  それは例えば、未来のことが何でも分かる人ってどう思う? といわれていることと同じものです。  未来が分かればそれは自分の思い通りに全てを行うことができます。  ですが、それは楽しいのでしょうか。  全てが分かってしまった場合、私はそれを人生とは言いません。  私はそれを作業ゲーと呼びます。  そう、作業ゲーなんです。  私が結婚相談所なんかに将来就職する機会があったとすれば間違いなく転職でしょう。  今後どうなるかは分からないにしろ、少なくとも運命の人(仮)であるのは間違いないわけですからね。  私が人の運命に少しでも関わりたいとか、私がみんなを幸せにしないとっていう使命感のようなものを持っていればその道を選ぼうと考えるのですが、私にはそんな考えはまったく無く、普通に就職して結婚してって考えているのです。  あっ、そうだ。  今結婚って話題を挙げてしまったので言いますが、私自身の赤い糸も見ることはできます。  ただ、相手は誰だかわかりません。  それに、もし分かったとしても私はできることならその人を選びたくはありません。  私のわがままです。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加