第二章 『ポーカー』

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しかし気になるのはこれからの事。 食料の配布があるのかや睡眠場所の確保などはしっかりと出来るのだろうかと、これからの不安が次々と俺の上にのし掛かって来る。 俺は頭を抱えたくなる衝動を押さえる代わりに頭を掻き毟って「クソッ」と力の限りに拳を地面に叩き付けた。 こんな所にずっといたら頭が可笑しくなりそうだ。 「隼人ー!何か見付けたぁー!」 突然優也が大声を出したので俺は大きく肩を揺らして「何だ」と地面に置いていた重い体を持ち上げて優也の方へ歩いていく。 優也がいたのはポーカー台…だったが。 「お前、何やってんの」 「だって、こうしたら何かありそうに思えたんだもん」 重そうに腰を据えていたポーカー台は優也の力によってひっくり返されており、台の裏側が屈まなくても見える様な位置になっていた。 よくこんな力があったなぁと感心しながら「ほらこれ」と優也が指差す箇所を彼の顔に寄り添う様にして注視する。 「これ…」 台の裏側は暗くて余りじっくりと見る事は出来なかったが、優也がやった様にひっくり返して見てみると台の裏にはセロハンテープで固定されている何かがあった。
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