第1章『始まり』

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「痛…」 慣れない頭の感覚で目を覚ました僕は、その見慣れない風景に唖然とした。 「此処…何処?」 息を飲み込んで辺りを見渡す。 その部屋は一面中コンクリート仕様で出来ている様で、冷たい感覚が床から込み上げて来る中々に肌寒い部屋だった。 何故か扉は無く、その代わりとしてか高い位置に光の射さない窓がある。 きっと僕は此処から部屋に入れられたのではないだろうかと、頭の痛みがそう告げた。 「それにこれは…」 モニター、だろうか。 随分と大きいサイズで、僕が両手を広げた位までの長さがある。 こんなの最早テレビに近いのではと、僕はモニターを観察し始める。 その時だった。 「おい、優也!」 聞き慣れた声がモニターから聞こえ、それとほぼ同時にモニターへ映像が映った。 「隼人…!」 其処には焦った表情でモニターに映り込む幼馴染み、東雲隼人の姿があった。 「おい優也、大丈夫か!?」 「うん…僕は大丈夫」 そうは言うものの不安は隠し切れなかった様で、僕は地面に膝を付いた。 「何で僕達はこんな所に…?」 「さぁな…分っかんねぇ。 ただ俺等が2人で遊んでいた事は覚えてんだ、何かあったならその後だ」 隼人がグッと拳を握る。 確かに今日は彼と2人で遊んだ。 僕等は家が近いものの、僕が私立中学で隼人が公立中学で通っている中学が違う。 今日は半年振り位に会って遊んだ日だった筈だが…。 「そう、だね…」 震える手を押さえて呟く。 今思ったら、隼人の後ろに広がる部屋も僕のに酷似している。同じ部屋なのだろうか。 「クソッ…どうなってんだ」 「分からない…でも僕等はどうする事も出来ないよ」 「チッ…くそっ!」 隼人が壁を蹴る。 僕はただ不安げな面持ちでそれを見詰めていた。 すると突然、部屋中に不快なノイズ音が鳴り響いた。 「わっ…」 「うおっ」 僕と隼人が慌てて耳を塞ぐと、暫くしてそのノイズ音は鳴り止んだ。 その代わりに聞こえて来たのは機械的な若い女性の声。 『東雲隼人様』 「……あ?」 女性が隼人の名前を呼ぶと、隼人は不機嫌そうに天井を見詰めた。 隼人は随分見ない間に不良っぽくなったんだなぁと思っていたら、今度は『錦戸優也様』と女性が僕を呼んだ。 酷く冷酷な声に背筋が凍る。 僕等はこれから…どうなるのだろう。
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