番外編第3話 ふたりで花火

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もとい。 そんな日々なんだけど、まだこの家にあたしのものは置いてない。 気付けば亡くなった奥さんとの写真も無くなってるし、積み上げられたダンボールも片付いてた。 だからって、ヅカヅカと踏み込んではいけないような気がして、ここに置いてあるあたしのものは、アキさんがくれた専用のマグカップくらいだ。 「というか、引っ越しの準備もそろそろしてもいいかもしれませんね」 「え? 引っ越し……?」 くり返すあたしにアキさんは「はぁ」とため息をついた。 「前にも言ったでしょう? ここに住みなさいと」 「そっ、それは──」 言われた。言われたけど、それって本気で本当に……?
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