第5章

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「おい、勘違いすんなよ」 「え?」 「飲ませたのは痛み止めだ」 由莉は僕が考えていることに勘づいたらしく。 警戒心を解くように僕の額に手を当てて言った。 「こう見えて俺、ひどい頭痛持ちでね。良く効くのを持ってんだ。痛くないだろ?」 「あ……」 バスタブの中 下半身に目をやるから思わず僕は膝を閉じた。 「良く効くが強い薬だから頭がぼーっとする」 鼻にかかる由莉の声は 夢の中で聞こえているようで。 「分かるな?」 「うん……」 「よしよし」 安心したからか 頭を撫でられる手はひどく心地いい。
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