第5章

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自分の痛みを忘れたせいか 前任の被害者に――逃げ出した僕の美しい兄に思いを馳せて 「どうして……こんなひどい事?」 「ひどい?」 「そうでしょ!涼しい顔してあんたもグルなんだろ!」 急に怒りがこみ上げてきた。 「おいおい、ちょっと待てよ!」 「待つもんか」 しかし感情のまま 唐突にバスタブから立ち上がってはみたものの。 「あ……」 「ほら、言わんこっちゃない」 憔悴し薬の効いた僕の身体は ひどい脱力感に苛まれ 「一人じゃ立ってもいられないくせに」 「放せ……」 悔しいかな ブロンドの共犯者の手に抱かれる。
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