第1章

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本当は壱兄と同じ「お兄ちゃん」と呼びたくても、見た目も中身も可愛くない私は親族全員や周囲の人間から将来を期待され出来の良い壱兄と差別するかのように「兄貴」と呼び方をかえている。双子だからといって私が参留を比較してくるのが嫌で、「姫菜よりも参留の方がいい」と参留を褒められるばかりだったから、私は双子でも性別が違って良かったと心底思ているけど、次男を説明する時は「できそこないの不良の弟」と表現されている人達について、兄貴はどう思っているのかな。……私も心無い他人と同じようなことをしているかもしれない。……ごめんね。 まさか自分のことを呼ばれているとは思ってもいない兄貴は、 「アニキがどうしたよ?」 私の声を聞き取ろうと兄貴は、 「その喋り方やめろ。クッションで全然聞こえねぇ」 と、私の顔から強引に力づくでクッションを奪った。 「んなっ! なんで泣いてやがるんだよ!」
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