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隠していた顔を見た兄貴は盛大に狼狽え腰が引けていた。吊り上がっている細い鋭角な眉毛はこれでもかという程ハの字になり弟の参留の情けない顔そっくりで、正真正銘血縁者だということが窺える。私は誰にも似ていないから2人が羨ましいよ。耳まで赤く染め て眉間に皺を寄せて捨てられる寸前の子犬のような目で見ている。
ソファーの前のローテーブルの上からティシュを引き寄せ、目を拭う。
「ねぇ、美留波の本当の父親ってお兄ちゃん達のどっちかでしょ?」
今まで心の中でため込んでいた疑問を口にした途端、
「――はぁ? アニキの子供でも俺の子供ねぇよ! なに勘違いしてやがんだよ。クソババアとクソオヤジの子供に決まってんだろ。余計なこと言うんじゃねぇよ。どっかにその噂が広まったらどうすんだよブス菜! ただでさえ年寄りの再婚で出来た子供ってことで変な目で見てくる奴とか居るのに、オマエまでそんなふざけたこと言ってっとヤベェことになんだろうが! 俺様を巻き添えて勝手に父親にすんじゃねぇ! ま、まだそういう歳じゃねぇよ。ガキだガキ。クソッ」
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