第1章

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自宅がはす向かい同士で、産婦人科も同じで誕生日は1日私の方が早い。幼稚園、小学校、中学校とクラスは違ったりしたがずっと一緒で、家族ぐるみの付き合いをしていたが、私の兄達と遊ぶ時は女の私は除け者にされる時の方が多かったし、壱兄が気を利かせて私の手を引いて一緒に遊ぶようにしても「あっち行けよブス。ついてくんな」「女のオマエは足手まといだ」と兄貴とグルになってヤジを飛ばしてきた奴だ。 高校を決める時に、私は兄弟とコイツに嘘の受験先を教え、誰にも教えず猛勉強してちょっとだけ頭が良い高校を合格した時に光也に自慢げに報告してやった時のあの間抜けな顔は今思い出しても笑えてくる。 「姫菜ちゃんは僕と光也くんと同じ学校じゃないの?」 隣に居たオカッパ頭の双子の片割れが、悲しそうに瞳をウルウルとさせながら私を見てきたけど、その表情を他人は「捨てられた犬みたい」と表現する者も居るが、私は参留(まいる)の存在自体が大嫌いでたまらなかったから、清々した気分になれた。 成績と性格で長男と比べられる三白眼で目つきも態度も悪い次男はよく「俺様とアニキを比べんじゃねぇ」と喚いているが、私だって同じだ。双子の片割れの方が可愛いと絶賛されて、「お前、本当に女なのかよ」とか「お前は参留の姉じゃねぇ。兄の間違いだろ」なんてバカにされ続けたこの15年の人生。私は高校生活まで参留と並べて比較されるのはごめんだと、別の高校を選んだ。 別に逃げたと言われたって構わない。 いくら双子の片割れ、幼馴染とはいえ、いつまでも寄り添った人生を歩みたくない。 「人」という文字は支え合って生きて行くなんて言葉は大嫌いだと思うのは、いつも妹なのに私がバカな兄貴達のしりぬぐいをさせられてきたし、ボールで窓を割って謝りに行く役目を押し付けられたりしたせいで「がさつ。男みたい。バカ」と言われる人生はゴメンだ。 そんなこんなで高校デビューをした私は、「あなた、本当に壱くんと弐磨くんの妹さん?」なんて言われることがなくなったし気分が晴れやかになり、学校までの移動は少々めんどくさいが、知り合いも居ないし、偏見な目で見られることなく伸び伸びとした快適な女子高生生活を送れるようになったし、ストレスが減ったせいか身長も伸びて胸も大きくなってきて心なしか美人度が上がってきたかのように思ってしまっているし、新しい友達とお洒落について語るのはとっても楽しい。
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