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ーー とある日……2年D組の教室 ーー
「ったく、鵲のヤローうっせーってんだよ」
「ナニナニ?リッくん朝からどーしたん?」
「いや、ほら髪をさあ~ちょっとブリーチしたくらいでウダウダいうからよ」
「あー、あるあるぅ~ 鵲教頭ってキモイよねー 風紀チェックとか言ってウチらのことジロジロ見やがるし セクハラだっつーの」
クラスはいつものように騒がしかった。教室の後ろの方で、どちらかというとハデ系の生徒達が固まって賑やかに話をしている。
その中心にいるのが榊陸玖と瀬野直哉だった。
「でもさあ~リッくん、その髪、どっちかって言うと生徒会長に見つかったときの方がウルサイんじゃないの?」
「あ~規則規則うるせーもんな~」
「それなら大丈夫じゃないかな」
「ん?ナオヤなんでだ?」
「いや、校則に髪の毛を染めてはいけない とは書いてないからさ。生徒会長ってさ、書いてないコト以外は言わないでしょ」
榊陸玖と瀬野直哉は中学からの同級生で、二人とも背も高く容姿も整っていた。いわゆるイケメンだ。しかし、リクがいるせいでナオヤは目立たず、引き立て役に回ることが多い。それでもナオヤはそのことはあまり気にしてはいなかった。
「校則って言えばさーふたりともいいよね~」
「ん?何がだ?ヨーコ」
「部活だよ、ぶ・か・つ!」
「あ~それなっ」
「なんかさーこの学校自由だって聞いてたのにぜっんぜん自由じゃない!って感じ?」
「だな 部活に絶対入ること さもなくば退学!とか 中坊か?っつーの」
「ウチら失敗しちゃったからなあテニス部とか あんなキツイなんて……リッくんとか何部だっけ?」
「んーーーーと……なんだっけ?直哉」
「文藝部でしょ文藝部!いいかげん覚えようか」
「あー、そうだそうだ~そうだった。何が良いって……出なくて良いんだもんな~良い部に入れたぜ」
「だな」
「あ、アイツらだ……」
その時、ちょうどサトルが教室に入ってきた。
しかしもちろん、そこで彼らに話しかけられるほどの度胸はサトルにはなかった。
2年D組では……いや、全校的に……サトルは目立たない方の属性の生徒だったのだから……
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