部長 小野寺倫子

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「えーーーと、いうワケで、文藝部部会を開きます。幸いなことに~なぜか~雅先輩を除く全員がこの場にいるので~ちょうどいいかと……」 旧校舎2年A組……文藝部部室には五名の部員が揃っていた。揃ってはいたが、各々が好き勝手にしているようだった。 壁際の一番後ろには影に溶け込むように野呂一花がなにか麦わらを編んでいた。窓際では榊陸玖が相変わらず野球部二軍の練習を見てブツブツ文句を言っていた。瀬野直哉はその隣でスマホをいじっていた。 そして、小野寺倫子と笹坂悟は教室の正面、教壇の近くに座って、今後の文藝部について話ていた。今日の倫子はメガネをしたままだったので代わりにサトルが壇上に居た。 「えーと……ということで、リンちゃんが部長で異議のある方~挙手をお願いします~いませんね?いませんよね~~………って?え?」 サトルがヤル気なさそうに教室内を見回すとリクが手を挙げていた。 「え、えっと……榊さん……な、なんでしょう?トイレは廊下を出て突き当りにありますが……」 「ちっがーーーーう!意義ある方~って言ったから手をあげたんだろーが」 「パ、パードゥン?」 「は~あ?パーだと!コラっ!ちょっとコッチ来い!」 「どうしたんだよリク。らしくもなく絡んだりして、そこの少年A君ビビってるじゃないか」 「えっと笹坂悟ですけど……」 「ちっ たださ……部長になるっつーんなら、本人から一言あってもいいんじゃないかな?ってな、思ってさ」 「なるほど……じゃあこうしましょう。まずは立候補者を募集して、立候補者が演説、そして投票を行い部長を選出する、ということでどうでしょうか?どうですか?倫子さん」 瀬野直哉がメガネを光らせながら黒板の前までやってきた。 「は、はい……いいと……思う……ます」
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