1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
しかし、その繭を作り出す生き物にとってもネズミは害獣で、あの大きさの害獣を駆逐するのこと。それは当時の人間にとって容易なことではなかった。
そこで、ネズミを容易に捕まえられる猫、その存在は重要で、崇められることもあった。ところが、時代は移ろい、養蚕が廃れた頃、人々が猫を疎ましく扱う地があった。その地では、猫は不当に命を奪われ、ついに一匹も見かけなくなったそうだ。
そして、猫が居なくなった日の夜、それは起こった。黒い色をしたネズミがその地に集い、蓄えていた食糧を始め、住人の財を奪っていったと言う。
特に、猫の命を直接奪った者は、その身の肉までも綺麗さっぱり奪われたと言う。ネズミの襲撃に怯えた者たちはその地を離れ、人の住まなくなった地は獣の住まう地に変わったそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!