王と王国の悲劇

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王と王国の悲劇

 この日もツィトクジラはユザたちが話している姿を眺めていた。 「怒涛の一週間。つらいー」 「つらぽよー」 「吐血しそうな忙しさ」 「生きててごめんなさいって思うこと多い」  ツィトクジラはユザたちが心配になった。ここのところ、リアで異常があるらしくユザが苦しんでいるのだ。  国王たるツィトクジラは何とかして苦しむユザの民を助けようと、他のユザにも話を聞いた。  以前のように楽しいリアの話をするものも多かったが、一方で陰鬱なことを述べる民を少なくなかった。  さらに話を聞いていこうと、ついにツィトクジラはツィトランドの衛兵を使って、王国全体の調査を行うことを決め、海のすべての領域に衛兵を放った。  ツィトクジラの前には衛兵長がいた。 「国王様、ご報告です」  件の調査報告であった。 「待って居ったぞ。話してみよ」 「はっ。調査の結果、陰鬱な表現を使うものが次第に増えていることが分かりました。また分析班が何やら興味深い結果が出るやもと、現在独自の分析を行っております」 「やはり増えておるのか」  ツィトクジラはため息をついた。自分の目の届かないところで、陰鬱さを増していたという結果は、ツィトクジラを傷心させた。  リアから持ち込まれた流行り病なのか、あるいは国土に根付いた疫病か、と思考を巡らす。早急に手を打ちかった。  コンッ、コンッ、部屋の扉を叩く音がした。  ツィトクジラが扉係に目配せをすると、扉がゆっくりと開く。 「はいれ!」 「はっ。」  若い衛兵が入ってきた。扉係に威勢よく返事をして、衛兵長のもとに駆け寄る。連絡係のようであった。  衛兵長は静かに若い衛兵からの連絡を聞いている。ツィトクジラはその様子を見守った。 「なにっ」  つぶやくような声であった。が、明らかに荒々しかった。  少し困ったような表情を浮かべてから、衛兵長は話し始めた。
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