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濡れられた文字
私と二人の女友達は遊び目的で宿に泊まっていた。
現在の時刻は午前二時だった。
「ねぇ、香織と優衣。さっき言っていたあの怪談試してみない?」と友達の佳奈は言う。
「あぁ、温泉で話していた怪談?真っ暗な部屋で水を十回ポタッポタッ垂らした後に明かりを照らすと赤い液体になっていて名前の文字の上にその量が多いとその人は死んじゃうアレね」と私は言った。
「ねぇ……やめようよ……」と香織は言う。
「怖いの?香織が話したんじゃない」と私は彼女に向かってにこやかに言う。
「でも」
「大丈夫。私たちがいるから」と佳奈は言う。
そう、私たちは彼女の言葉を信じてやめればよかったのかもしれない。まさかあのようなことが私たちに起こるとは。
私たちはテーブルの上で一枚の紙に三つのフルネームを書いた。
『秋山佳奈
遠藤香織
近藤優衣』
間隔を開けて書いているので水滴が垂れた所から誰が近いのかがよく分かる。
「じゃーん、スポイト。さっき温泉から部屋に帰ってきて見つけたわ。香織は怖くて手が震えてそうだから優衣お願い」と佳奈はスポイトを持ちながら言う。
なぜそれがこの部屋に置いてあったのか不思議に思いながらも私は佳奈からそれを受け取る。
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