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「じゃあ、水をスポイトに入れるね……入れたよ」
「電気を消すわね。優衣、準備はいい?」
電源スイッチの近くに座っていた佳奈が立ち上がってそれを押そうとしていた。
「いいよー」
その直後、部屋の明かりは消えた。私は気配で佳奈が私の向こう側に座ったのを確認するとスポイトから水をこぼした。
いきなり押すとたくさん出るから。
ゆっくり……ゆっくり……と。
一滴……二滴……三滴……四滴……五滴……。
「みんないるよね?」
反応がない。
すかさず垂らす。
六滴……七滴……八滴……九滴……十滴……。
私は手探りで電気のスイッチに向かう。
そして部屋の中を見た。
「いるなら反応してよ、佳奈」
「ごめんごめん。なんか急に体が動かなくなっちゃって」
「そういえば……あの子は?」
私がそう言うと「あれ?どこ行ったんだろ?」
そして私たちはお互い顔を見合わせて同じ言葉を言う。
「あの子の名前ってなんだっけ?」と。
私たちは紙を見た。そこには私たちの二つの名前の間にあった物を埋めるように綺麗に赤い血が固まっていた。私はスポイトを見てみるが、水が入ったそれが置かれているだけだった。それはコップの中に入っている水も同じだった。
部屋の扉から誰か来た。
「ごめん。お手洗いが長くて」
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