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練習あとの片付けも
レギュラーの私の役割で、
大きなモップをぎゅぎゅっとかけながら、
コートをタテヨコに走る。
道具を備品庫に片付けて、振り返ると
入口のドアに寄りかかっている人がいた。
明るいコートから
薄暗い備品庫に逆光で立っているのは、
背の高い・・・?
え?
「あの」
へ?
「おまえ・・・さ」
この声・・・?
「それ」
私を指さす・・・その声。
「・・・・んなこと、・・・すんなよ」
・・んなことって?
「あ、あの・・・。なんでしょうか?」
「・・・っ。だから」
そう言いながら、長い足でどんっと、一歩中に入ってきた。
同時に伸びてきた腕が見えて、
私のおでこに人差し指が、当たる寸前の位置に止まる。
「・・・ここだよ。これ」
「な、なん・・・なんですか、だから・・・?」
「ハチマキ・・・ずれてんだよ。
見えてるから・・・な!」
「ええ!?」
あわてて、斜めにずり落ちていたハチマキを
引き上げて、両手で押さえつける。
「あのな・・・。
それで、隠してたつもりかもしんないけど」
そう言って、先輩は人差し指を
ぐっと、おデコをおさえた私の手の甲におしつけた。
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