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夕焼けの頃、
先輩の自転車の後ろに私は座らせられていた。
少しずつ、
空気が夜の風にかわる。
大丈夫ですからと言う私を
ひとりで帰ることを
先輩は、許してくれなかった。
点滴をしたら、
うそみたいに、気分はよくなったし、
いつもとかわりないと思ったんだけど。
もうすぐ駅が見えてくる辺りにある公園。
先輩は、そこで
自転車を止めた。
足で支えながら、肩越しに少しだけ
振り向いて、
後ろにいる私に言った。
「ふぅ・・・。
今日は・・・悪かったな」
「へ? なんで、先輩が謝ってるんですか。
今日のは、わたしが・・・。」
「俺、お前に黙ってたことがあるんだ」
「へ?」
「今日の居残りな。
あれ、俺が仕組んだんだ。」
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