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おまじない
「先生!」
先輩は、保健室のドアを開けると中を覗き込んで
大きな声で先生を呼ぶ。
「あの、せんぱい」
私は、ドアに掛けられた「不在」というカードを
指さした。
「あー。
困ったな。あの先生、よくサボるから」
「先生いらっしゃらないのなら・・・」
「何言ってんだ。
ちゃんと、冷やすなり、クスリつけるなりしないと」
また、手を引っ張られて
半ば強引に、椅子に座らせられた。
「頭?」
「あ・・・いえ・・・、おでこ」
「おでこ・・・?真正面で、受けたのか!?」
後頭部で受けたボールの衝撃でおでこを使って壁に
ハイタッチしてましたなんて・・・
恥ずかしすぎて言えないし・・・!
「あ・・はははは」
真正面で受けたすっごいトロイ奴って、思われ・・・・
たらなんて、
笑って誤魔化しながら、顔を上げたら目の前に
先輩の顔・・・・・・・っ!
ひっ。
むりむりむりむりむりむりむりーーーーーーーーーーっ!
大パニックになって、頭真っ白のなのに、
ふっ・・・、
小さな風が私の前髪を揺らして
「・・・赤くなってる」
小さな声と
指が私のおでこに触れて・・・撫でた。
「痛いか・・・?」
「・・・へっ」
「痛かったよな」
「へ」
「ごめん」
一瞬の間のあとに
感じたのは、なんだろう。
先輩の指が触れていたところに、
ふわりと降りてきた温かいもの・・・・・・。
「おまじない・・・秘密だぞ。」
そう言った、先輩の声を私はどこか遠くから
聞いたような気がした。
だって、
だって、
まさか、
まさか、
まさかの
おでこに・・・・・・ちゅう、
だった・・・!!”
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