春風

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春風

青い空が好きだった。  学校へと続くゆるい坂道を上がって、 顔を上げると、風が吹いてくる。 入学式の日。 桜並木の向こう側に青い空が見えた。 少し強い春の風が吹いて、 真新しいセーラー服の襟が立ち上がるように踊って 慌てた私のそばでふいに聞こえた声。 「ほら」 捲れ上がった襟を両手でぴんっと持って 背中へと下ろしてくれたひと。 隣に、 空と同じ色のユニフォームを着た 先輩がいた。
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