運命

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カウンターの前では弱り果てた様子の大谷が上代と話をしていた。 日高が香湖と亜弓を連れてきたのに気が付くと、大二人は話を中断してそちらを見た。 日高が大谷の耳元で何やら囁くと、大谷の顔は少し安堵を取り戻したように緩んだ。 大谷は二人に挨拶と自己紹介をし、日高も改めて二人に自己紹介をした。 亜弓は気さくな笑みを浮かべ、云う。 「私は、八州で、こっちの一寸無愛想なのが相馬香湖。 コウコは香に湖と書くんだけど、子じゃなくて湖ってとこがお洒落で気に入っていると 本人もよく言ってるから、気にしてあげてね」 香湖は黙れといった感じに眉根をよせて、亜弓を睨んだが亜弓は何食わぬ顔で澄まして話を続けた。 「店員の大谷さん、リュウ使いの日高さんね、宜しく」と微笑みながら挨拶をすると、 大谷の隣に立つ少女に好奇の目を向け、持ち前の人懐こい屈託のない笑顔で話しかけた。 「初めまして」 話しかけられた少女は、やや戸惑いがちに初めましてと返し、そして自分を日野桜と自己紹介した。 亜弓は嬉しそうに目を輝かせ香湖に云った。 「この子桜だってカコ。ストゼロの桜と同じ名前だよ。これはキット強い子に違いないよ!」 亜弓は初対面の桜を、行き成り、躊躇なく強キャラ扱いしたが、桜は何のことか分からないという風に目を瞬かせた。 香湖は最早、亜弓の厚かましさには何も云わずにただ申し訳なさそうに桜に軽く頭を下げて云った。
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